料理・味4.0
雰囲気2.5
接客・サービス3.0
コストパフォーマンス4.0
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荻窪駅から徒歩2分。店内に足を踏み入れると、どこか懐かしさを覚える穏やかな空気が漂います。広々としたL字型のカウンターには木の温もりが感じられ、過度に華美な設えではなく、肩の力を抜いて料理と向き合えるアットホームな趣。職人歴30年以上という経験に裏打ちされた仕事を、間近で楽しめるのも魅力です。 今回は「おまかせコース 佳」を。先付けは、無花果のごま和え、金時草のお浸し、帆立のべっこう漬け。素材それぞれの持ち味を損なわず、味の濃淡と食感に変化をつけた構成で、これから始まるコースへの期待を高めてくれます。 アオリイカは細やかに包丁を入れることで、柔らかな食感と甘みを引き出し、レモン塩で輪郭を添えた一品。続く握りは「やま幸」のマグロを使用した赤身かで、しっかりとした旨味と鮮やかな余韻を堪能できます。 なかでも特筆したいのがマグロの脳天。全体のわずか0.5パーセントしか取れない部位で、濃密な脂の旨味がありながら、単純にトロの延長線上というわけではない、弾力ある独特の食感が魅力です。マンゴーカットを思わせる包丁仕事も美しく、これも旨味や食感に寄与していることでしょう。 握りの合間に供されるつまみも、この店の真価を感じさせるところ。秋刀魚の鍬焼き、鮑と肝ソース、カマスと蕪の炊き合わせと、焼き、蒸し、煮と調理法にも幅があります。しかも鮑は(一番安いコースなのに)丸ごと一個を使った贅沢な仕立てで嬉しい誤算でした。 握り後半戦、個人的には平目のエンガワの昆布締めはほどよい塩味と昆布の旨味が重なり、酒を進める味わいで好みでした。 真鯛はすだち塩と炙りによる香ばしさが心地よく、その後玉子焼き、魚介の旨味が溶け込んだ味噌汁まで、終盤に向けて味わいをきれいにまとめています。 日本酒は農口尚彦の「観音下」を。米の旨味を感じさせるふくよかな口当たりがありながら、後口にはキレがあり、寿司や和食の繊細な味わいを邪魔せず、料理を受け止めてくれる一本。日本酒は時期によって入れ替わるとのことで、その日の料理に合わせて選ぶ楽しみもあります。 寿司を中心に据えながら、つまみには和食の技法を惜しみなく取り入れ、一皿ごとの緩急でコースを組み立てている「寿司 周辰」。気取らない温かな空間と、随所に感じられる職人の確かな仕事。その両方を楽しめる、ある種、荻窪らしい親しみやすさと本格性を兼ね備えた一軒でした。














